作 品

風景画

 奥田芸術の根幹を成すものは、自然への愛である。自然への絶対的信頼と言っても良い。創作の第一段階は徹底した現場取材である。マイナス30度の厳寒の朝であってもその場に立つ。
 第二段階は、その場で受けた感動を絵の具と画布と心によって絵画作品として実現、再構成しようという試行錯誤である。ここでの奥田の特徴は、科学的、物理的なアプローチである。虹の七色によって自然界のほとんどの色を作り出す補色混合の技術。全ての物を等価値として描く事によって一切の説明を省き、単純化して「時空としての絵画世界」の可能性に迫る試み。それらの思いは、人生観、宗教性とも重なって行く。

人物画

 人物画における奥田の特徴は、眼差しの優しさである。ほとんど手放しで対象に向き合う。それは奥田の人間に対する向き合い方と重なるのであろう。
 一方最近連作を続けるマリア像では、人間の祈るという心理に対する興味、考察が見て取れる。水の中に、雪の中に、虹を背に、残照の光を浴びて祈るマリア。マリアの祈りは奥田の祈りでもあろう。