「虹」  80×65p 2008年 〈富良野市〉

 新緑のまぶしい頃から、紅葉が始まった今まで、今年は良く車で小一時間程の、平沢に通った。辺りを見渡せる丘の一ヶ所に画架を立てて、虹の画を描き続けている。画面の左端に、虹が落ちる様な構図の画で、実際に私が虹を見たのは、少し離れた所だが、しかし画としてはやはり、そこに虹を置きたい。絵空事と言われればそうだが、左端に虹を描きたいという気持ちは本当で、事実ではないが、私の心の姿を、反映したことには違いない。描き始めは、光を象徴する黄色を多くして、虹を描いておく。そして、数秒ごとに画面を見、実際の風景を見る。これを繰り返すのが、私の描方だが、面白い事に気付く、実際の風景にも、うす紫の虹が架って見えるのである。補色残像という、眼の錯覚には違いないが、嘘から出た誠という言葉が思い浮かぶ。