「イルムケップ晩夏」100×80p 2007年〈芦別市〉

「陽光」60×45p 2009年〈同左〉

 この眼前の雄大な光景を、いかに画に実現しようかと思う。主題は赤味を帯びた土と、作物の緑なす耕地が、波打ちながらイルムケップ山へとせり上がる様子。また、この土地の持つ意志の激しさの様なもの。地球の時間の尺度の中では地面も水の様に動くことを思いながら描こう。近景の林は入れた方が良いが、その手前の牧草地はどうする。全部入れると、主題の耕地の広がりとぶつかる。右半分にすれば、耕地の動きとも響き合う。耕地の赤と緑のコントラストがあるので近景の林は半日陰で、オフフォーカスにして抑え目にしよう。右から左へ流れた方が良い。空は広くとる。私が立っている位置が高いことを暗示できる。ごてごてとぬりこまず、うすくうすく、空気の中で光が反射する空間の厚みを出そう。雲はどうする。小さ目が良い。大地の動きを反影して右に流れる方が良い。そして山の向うに地球が続くことを感じさせよう。