「崖のある風景」  72×50p 2009年 〈旭川市〉

 水田の向うの崖が面白く、描き始めたが、なかなか雲が決まらない。崖の主張が強すぎる為かも知れない。

 そのうちに稲の色も変り始め、来年また来ようということにした。次の年、一年振りに来てみると、その日のうちに雲が決まり、翌日確認の為にまた来たが、これで良いという気がした。気がかりなのは、去年、私が仕事に集中できるように、朝のうちにこの辺りの草を刈ったり、手の空いた頃を見計って、さりげない立ち話をした純朴な老農夫の姿が見えない事である。

 時々入院すると言っていたが、「したっけね。」と、背を向けて行った昨年の後姿に心を残しながら、明日からは別の場所へ通うことになる。